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【米国市況】リスク資産が急落、英減税受けて市場混乱-ドル143円台 - ブルームバーグ

23日の米株式相場は大幅続落。英国の景気刺激策発表後、インフレ高進が金利上昇につながるとの懸念が高まり、世界的なリセッション(景気後退)に関する不安要因が増える中、高リスク資産の売りが加速した。

英国が25.5兆円経済対策、1972年以来の大型減税-通貨と国債急落 (2)

  • 米国株は大幅続落、英の大型減税方針で景気懸念増大
  • 米国債は長期債上昇、イールドカーブがフラット化
  • ドルが逃避需要で上昇、143円台前半-ポンドは1985年以来の安値
  • NY原油は反落、成長懸念で-週間では今年最長の連続安
  • NY金は下落、約2年ぶり安値-相次ぐ中銀利上げで

  世界株安となり、S&P500種株価指数は一時6月に付けた終値ベースの安値を下回った。これは、相場下落の勢いが衰える兆候を探すチャート分析の専門家が下値支持線になり得ると見ていた水準。ただ投資家の本格的な降伏には至っておらず、下落局面はまだ続く可能性がある。ゴールドマン・サックス・グループはS&P500種の年末目標を3600と従来予想から 下方修正した。

  S&P500種は前日比1.7%安の3693.23。ダウ工業株30種平均は486.27ドル(1.6%)安の29590.41ドル。ナスダック総合指数は1.8%低下。リスク回避ムードが広がり、「恐怖指数」と呼ばれるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は一時30を超えた。

  スレートストーン・ウェルスのチーフストラテジスト、ケニー・ポルカリ氏は「『この世の終わり』的な出来事とも感じられた今週については、トレーダーと投資家が負けを認めることになりそうだ」と指摘。「『リセッション(景気後退)が到来しそうだ』と人々が口にしなくなり、もうすでに到来したとの事実を受け入れれば、センチメントは変わるだろう」と語った。

  またマイケル・ハートネット氏らバンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストはリポートで、投資家は現金の保有を大きく増やしつつある一方、他の資産クラスについてはほぼ全て敬遠していると指摘。投資家のセンチメントが2008年の金融危機以来で最悪となっていることに「疑いの余地はない」と記している。

現金が王様、投資家マインドは金融危機以来で最も悲観的-BofA

  米国債市場では長期債が上昇。イールドカーブ(利回り曲線)はフラット化した。ニューヨーク時間午後4時5分現在、10年債利回りは3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.68%。

  外国為替市場ではドルが主要10通貨の全てに対して上昇し、ドル指数が最高値を更新。政策引き締めや債券の供給、成長減速への懸念で幅広い金融資産が下げる中、ドルは逃避需要を集めた。ポンドは英財政懸念の広がりでドルに対し3%余り下げ、1985年以来の安値となった。

  主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は1.3%上昇。ニューヨーク時間午後4時5分現在、ドルは対円で0.6%高の1ドル=143円29銭。ユーロは対ドルで1.5%安の1ユーロ=0.9691ドル。ポンドは3.5%安の1ポンド=1.0862ドル。

  JPモルガン・チェースのミーラ・チャンダン、パトリック・ロック両為替アナリストは、ポンド・ドル相場予想を「1.10ドルから1.05ドルに引き下げた」ほか、対ドルおよび対スイス・フランでのポンド・ショートを引き続き推奨するとリポートで明らかにした。

サマーズ氏、英経済政策でポンドは対ドル等価割れも-日銀介入も批判

The Bloomberg Dollar Spot Index hit a lifetime high

ブルームバーグ・ドル指数の推移

出所:ブルームバーグ

  ニューヨーク原油先物相場は反落。1月以来初めて終値でバレル当たり79ドルを割り込んだ。週間ベースでは今年最長の4週連続安。世界的に中央銀行が経済成長を犠牲にしてインフレとの闘いを強化していることが、相場への重しになった。

  米ヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)の創業パートナー、ジョン・キルダフ氏は「米経済や世界経済のハードランディングを巡る懸念が市場に影響している」と指摘。政策金利を「世界経済への木づち」のように使うことは、経済活動を妨げる可能性があり、「原油は売られているのはそれが理由だ」と述べた。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物11月限は、前日比4.75ドル(5.7%)安の1バレル=78.74ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント11月限は4.31ドル下げて86.15ドル。  

  ニューヨーク金相場は下落。ドルの上昇を背景に、スポット相場は約2年ぶりの安値を付けた。週間ベースでは2週連続の下げ。米金融当局に続いて、複数の国・地域の中央銀行がインフレ抑制に向け利上げを実施したことが背景にある。

  コムトレンツ・リスク・マネジメント・サービシズのディレクター、ナナセハー・ティアガラジャン氏は金の弱さは「続く可能性が極めて高い」とし、「金保有のコストを高くする金融引き締め」を理由に挙げた。ただその上で、「リセッション懸念やロシアとウクライナの紛争激化は金価格を支える可能性がある」と述べた。

  スポット価格はニューヨーク時間午後3時2分現在、前日比1.8%安。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は、1.5%安の1オンス=1655.60ドルで終了した。

原題: Risk Assets Swept Up in Rout as ‘Fear Gauge’ Soars: Markets Wrap(抜粋)

Treasuries Mixed, Flattening Resumes After Early Gilt-Led Rout(抜粋)

Dollar Jumps on Haven Demand as Shares, Pound Slump: Inside G-10(抜粋)

Oil Sets Its Longest Losing Streak of the Year Amid Growth Fears(抜粋)

Gold Drops to Lowest in Over 2 Years After Parade of Rate Hikes(抜粋)

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