ガザ境界の検問所で搬入制限、支援物資運ぶトラックが列「食料腐っている」…飢餓が深刻化 - 読売新聞オンライン

　ガザでは、イスラエルによる人道支援物資の搬入制限が、深刻化する飢餓の大きな要因となっている。ガザとの境界にあるイスラエル南部ケレム・シャロームの検問所では、日が高いうちに門が閉ざされていた。（ケレム・シャローム　笹子美奈子）

　警察の検問を２回通過して検問所に近づくと、砲撃音が聞こえてきた。上空にはイスラエル軍の監視気球が浮かんでおり、全地球測位システム（ＧＰＳ）は作動しない。軍が無人機攻撃などを警戒しているためだ。

　１日午後２時過ぎ、検問所ではガザに物資を運ぶこの日最後のトラックが入境するところだった。「今日入ったのは１６０台」。警戒にあたる警察官はそう話し、すぐに立ち去った。

　昨年１０月に戦闘が始まると、イスラエルはガザを封鎖し、物資の搬入経路をエジプトとの境界にある最南部ラファの検問所に限定した。ガザの人道状況悪化で国際社会の批判を受け、同１２月にはケレム・シャローム検問所からの搬入を始めた。

　しかし、世界食糧計画（ＷＦＰ）によると、約２３０万人が暮らすガザでは、基礎的食料だけで１日あたりトラック３００台分が必要とされるのに対し、戦闘開始後に入ったトラックは、イスラエル軍によると１日あたり約７０台にとどまる。イスラエルがハマスへの武器流入を警戒して厳しく検査し、入境に長い時間がかかるためだ。食料不足の深刻化で、ＷＦＰの推計では約半数の約１１０万人が５段階で最悪の「壊滅的飢餓」に陥る。

　イスラエル軍の攻撃が続く中で略奪も起き、ガザ北部への物資輸送は特に困難を極める。食料を運ぶ米民間団体の車両への誤爆で国際社会の非難が強まり、イスラエルは５日、新たに北部エレズ検問所からの物資搬入も認めた。しかし、事態改善につながるかは不透明だ。

　エジプト当局によると、ラファの検問所では現在も検査待ちのトラックの車列が数キロにわたる。「せっかく届いた食料が何日も待たされた末に腐っている」とエジプトの支援団体の担当者は訴えた。「壁１枚を隔て、飢えに苦しむ人がすぐ向こうにいるのに無念だ」

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April 07, 2024 at 08:15PM
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