Search

【地球コラム】カザフの「天安門事件」(上):時事ドットコム - 時事通信

プーチン、対中警戒か

 中央アジアのカザフスタン全土で反政府デモの嵐が吹き荒れ、ロシアのプーチン政権は1月6日、旧ソ連圏の軍事同盟、集団安全保障条約機構(CSTO)の枠内で平和維持部隊を派遣した。カザフのトカエフ大統領の要請後、24時間以内のスピード介入だ。ウクライナとの西部国境に軍を集結させて北大西洋条約機構(NATO)に圧力を加える中、ロシアの勢力圏を守るためならすぐにでも行動に移せるという臨戦態勢を対外的に誇示した。

 ただ、プーチン政権が一時的にも平和維持部隊でにらみを利かせた相手は、欧米だけではなさそうだ。カザフはNATOと一定の協力関係にあるが、ロシアとの同盟を軸にバランス外交に努めており、ウクライナなどのようにNATO加盟を目指しているわけではない。ここで見えてくるのが、カザフへの経済進出を活発化する東の隣国・中国の存在だ。

 中央アジア5カ国は、ロシア帝国、ソ連時代を経て独立。カザフのナザルバエフ前大統領のような強権指導者が統治してきた。しかし、ソ連崩壊から30年が過ぎ、地域の安定にはほころびが見える。その一つが、年明けのカザフ情勢でもある。

 権力の空白が生まれれば、中国に付け入る隙を与える―。中ロは現在、戦略的パートナーシップ関係にあるが、歴史的には中ソ国境紛争も経験したライバル同士。プーチン大統領の素早い決断に際し、中ロ「蜜月」の中で表向きには言えない中国への警戒感が念頭にあったもようだ。(時事通信社・前モスクワ特派員 平岩貴比古、2回連載・外交編)

迅速すぎる展開

 カザフのトカエフ大統領が国民向けのテレビ演説で、デモ隊を「テロリスト」と呼び、平和維持部隊の派遣を要請したのは1月5日。ロシア主導のCSTOが深夜に正式決定後、ロシア空挺(くうてい)軍が駐留する中部イワノボ州では翌日、雪の中でずらりと並んだ軍用車両がカザフ行き輸送機への搭載を待っていた。

 平和維持部隊の中心となったのは、このロシア空挺軍。チェチェン紛争やウクライナ南部クリミア半島併合などに際して投入された精鋭部隊であり、欧米はデモの武力鎮圧と共に、ロシアの軍事介入に懸念を示した。

 年明けからの反政府デモの暴徒化を受け、要請した主体はカザフだ。CSTOの平和維持部隊の活用は初めて。しかし、旧ソ連圏でロシアが介入してきた前例からして、展開は「迅速すぎた」とも言える。2013~2014年にデモに見舞われたウクライナは、CSTO非加盟で今回のような選択肢はあり得なかった(結果的にロシア軍がクリミア半島を制圧した)。2020年に大統領選不正疑惑がデモに発展したベラルーシは加盟国だが、ロシアからは治安部隊の支援表明にとどまった。

 ウクライナはその後、NATO加盟路線をさらに鮮明にし、ベラルーシでは政権崩壊こそ免れたものの、反ルカシェンコ派が欧州連合(EU)域内に逃れて「亡命政府」のように振る舞っている。問題を長期化でこじらせたという反省点がロシアにはあり、カザフでの対応に生かされたとみられる。迅速な介入に当たっては①ロシアが主導して要請させた②事前のコンティンジェンシー・プラン(緊急時対応計画)が存在した―可能性もありそうだ。

◆地球コラム バックナンバー◆

Adblock test (Why?)



世界 - 最新 - Google ニュース
January 16, 2022 at 03:18PM
https://ift.tt/33phpgm

【地球コラム】カザフの「天安門事件」(上):時事ドットコム - 時事通信
世界 - 最新 - Google ニュース
https://ift.tt/2NV3PH7
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

Bagikan Berita Ini

0 Response to "【地球コラム】カザフの「天安門事件」(上):時事ドットコム - 時事通信"

コメントを投稿

Powered by Blogger.